科学で人の魂は救えない・・・先人の遺した知恵に頭を垂れることを覚えよう

画像天皇陛下の冠動脈バイパス手術が無事終了した。執刀を担当した順天堂大学の天野篤教授の会見を観ながら、心から安堵した自分がいる。手術の成功を祈って記帳に足を運んだ国民は、1万3千人にも及んだという。優しさ、思いやり、尊いものへの敬意は、大和民族の誇るべき習性である。喜びの裏でひとつ、許せないことを思い出した。23年前に昭和天皇が崩御されたとき、皇居に向かって涙を流して手を合わせた女性の姿を指して、浅田彰は「土人」と表現した。まさに、日本人への挑戦である。日本の社会学者にとって天皇は不倶戴天の敵であり、近代国家建設への隘路であるらしい。昨年の最後のブログ(こちら)でも触れたが、宮台や大塚英志だか香山リカだかにしろ、日本への恨みつらみから形作った自己の奇妙な思想を巧妙にオブラートに包み、破壊工作に勤しんでいる自称オピニオンリーダーの方こそが「土人」に他ならない。親に施された教育が余程悪かったか、そもそも精神的に異常なのか。はたまた、“成りすまし”の悪い血が騒ぐのか。彼らは大学を根城にして、無垢な若年層を洗脳することで日本の弱体化を企図している。私が在籍した早稲田も極左の重要拠点であったが、不逞なアカ教授に感化されて皇室を侮蔑し、祖先を嘲笑う馬鹿な学生が多かった(『お母さんは“家庭の太陽”・・・汚れた雑音に負けず子供たちに無償の光を』参照)。彼らが卒業後、社会で足場を築いて一人前に活躍しているという話は聞かない。能書きばかり垂れて最低限の品格も持ち合わせない者が、社会から弾き出されるのは自明のことだ。土人(=餓鬼)に欠如しているのは、“感謝の心と謙虚さ”である。現実と向き合っている大人は、妄想に溺れることはない。“餓鬼の時代”の端的な事象が民主党政権の誕生であったが、結果はこの“絶望”だ。もう手遅れかもしれないが、若い世代にはしっかりと、本物と偽物の違いを訓えていかねばならない。



画像最近、昭和の芸能界を彩った方々の訃報が相次いで報道されている。個人的に最も衝撃的だったのは、漫才師・大平シローさんの急逝だ。『太平サブロー・シロー』といえば、30年前に日本中を席巻した漫才ブームの立役者の一組に数えられる。漫才の最中に得意の物まねを取り入れるなどの斬新なスタイルと、『オレたちひょうきん族』へのレギュラー出演などで大きな人気を誇った。サブシロ漫才は稽古を行わず、舞台に上がる直前のシローさんのひらめきで、その日のネタを決めていたという。同じ時代を戦った芸人仲間は、誰もが彼を天才と呼んだ。そんな彼らだったが吉本興業を退社して以降は仕事が激減し、独立から僅か4年後の平成4年にコンビは解散。吉本に詫びを入れて復帰したサブローさんとは対照的に、突然の参院選出馬や失踪など、シローさんの人生は混迷を極めた。私も子供の頃、あの爆笑を誘う喋りに魅了された一人だ。あの時代の漫才を今でもYoutubeで観るが、現在のお笑いブームの主役達よりも遥かに面白く品がある。シローさんは近年、芸人として名前を聞くことはなかった。和解したサブローさんに再結成を持ちかけた場面もあったというが、もう永遠にあの漫才が観れなくなってしまったと思うと哀しい。横山やすしさんもそうだったが、天才芸人とは、人生そのものが芸なのだろう。あの世でも、斬新な笑いを振りまいて、多くの霊を癒してあげてほしい。享年55。合掌。




画像最近は仕事で、昨年と同じように和歌山県を訪れる場面が増えている。取材を受けてもらう企業や団体を調べていくうちに、色々と地域のことについてもわかってきた。和歌山市を中心とする県北部は阪神工業地帯に属し、沿岸部では製鉄所や製油所などの重化学工業が盛んだ。第一次世界大戦時は、それまでドイツからの輸入に依存していた染料の工業化に成功した。県の特産品である梅や蜜柑などの農林水産物、パイル織物や紀州漆器に代表される鉱工業製品とその技術など、先人から受け継いだ多くの地域資源を武器に、100万人県民が一体となって取り組みを進めている姿に、注目が集まっている。県内人口は高齢化が進む一方だが、ここで出会った人たちは皆、親切で優しい。先日はエレクトロニクス関係の有力企業を訪れるため、JR紀伊中ノ島駅に降り立った。訪問を終えたあと、駅へ戻る途中にある浄土宗専稲寺の、地蔵大菩薩様に参拝(写真)。その穏やかな、全てを包み込むようなお顔に心を癒される。仕事の成功と、先日、那智勝浦を襲った天災で犠牲になった方の鎮魂を願って手を合わせた。穢土でのお勤めは全てが“学び”だが、日銭を稼ぐためには魂を汚さねばならない場面がある。そんな悔いを洗い流して、心を洗浄するために、神仏の存在がある。頭を垂れる機会を持てない者の末路は、まことに哀れだ。そのことに現代の日本人の大多数が気づく日は、果たしてやってくるであろうか。




今日は、小林秀雄の『信ずることと知ること』(昭和49年)から、小林が学生に向けて行った講演の一節を引きたい。


僕らはいま月に行けるでしょう。

それは、僕らが行動の上において、

非常な進歩をしたということです。

けれども僕らが生きてゆくための知恵というものは、

どれだけ進歩していますか。

例えば論語以上の知恵が現代人にありますか。

理性は科学というものをいつも批判しなければいけないのです。

科学というのは、人間が思いついた一つの能力に過ぎないということを忘れてはいけない。




科学で全てを裁くのは、無知と思い上がりだ。



本物の知恵は、過去にある。先人が遺してくれたものの中にこそ、宝物が詰まっている。



何が起こっても、おかしくないピリオドに入った。



心して、感謝の気持ちを忘れずに、一日を大切に生きてほしい。




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この記事へのコメント

練馬のんべ
2012年02月25日 21:12
TBありがとうございます(迷惑フォルダに誤って入って遅くなりました、申し訳ありません)

陛下の手術が終わる少し前くらいに、皇居にて記帳して参りました。強烈な北風が吹き荒ぶ中、寒さに震えながら、みな「天皇さま」を心配して記帳しに来た、という雰囲気。やっぱり日本人だなあ、とつくづく感じました。

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